フランケンシュタイン対地底怪獣→関係コラムはこちら
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空想科学映画シリーズ第1作として1965年8月8日(日)に公開された東宝特撮怪獣映画「フランケンシュタイン対地底怪獣」。

発端は「キングコング」(1933年)を創った特殊ストップモーション撮影の元祖ウィリス・H・オブライエンが、1960年頃、キングコングをカラー作品でリメイクさせる事を目的として、フランケンシュタイン博士の孫が造りだした巨大怪物とキングコングが戦う「キングコング対フランケンシュタインの怪物」という映画を企画した事から始まる。
そして、キングコングの所有権を持つ(多胡部長ではない…)RKO社は、この企画をハリウッドの映画会社へ売り込むが、この企画に興味を示したのが知る人ぞ知るハリウッドのプロデューサーJOHN BECK(ジョン・ベック)であった。

1956年「KING OF THE MONSTERS GODZILLA(怪獣王ゴジラ)」、続いて1959年「GIGANTIS THE FIRE MONSTER(ゴジラの逆襲)」と、アメリカで公開された日本の怪獣映画の人気と質の高さに目をつけていたジョン・ベックは、この企画を「キングコング対プロメテウス」(※プロメテウスは、メアリー・シェリーのフランケンシュタインの原作「フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス」から引用したもの)として東宝に売り込みをかけた。
そして、この企画にのった東宝はキングコングの著作権利を5年契約で借り受け、後に
「キングコング対ゴジラ」として映画化する事となるわけだが、ちょうどその「キングコング対ゴジラ」の映画公開直後に、アメリカのベネディクト・プロ(当時、アメリカでのゴジラの権利を取得していたHENRY G. SAPERSTEIN ヘンリー・G・サパースタイン設立)が、キングコングの元々の対決相手であったフランケンシュタインの怪物を中心とした対決企画をたて、東宝に提携を申し入れていた。
これが「フランケンシュタイン対地底怪獣」の元となった企画である。
本作が公開されたのが1965年8月。当時の宣材などでも「構想三年、初の日米合作怪獣映画」と謳われているので「キングコング対ゴジラ」が国内公開された1962年8月以降、早々に企画が立ち上がったものとみてまず間違いないであろう。

メアリー・シェリーの原作を元に、フランケンシュタインの怪物と何物かを対決させるという基本ストーリーを考案したのは「太平洋の地獄」(68年)の脚本家REUBEN BERCOVITCH(ルーベン・バーコヴィッチ)と、医学SFテーマを得意とし「ミステリー・ゾーン」などの脚本でも活躍していたSF作家のJERRY SOHL(ジェリー・ソウル)。(※土屋嘉男「ガス人間第1号」のコメントはこちら→)
この基本ストーリーを元に、1963年に「ガス人間第1号」の続編的意味合いの強い「フランケンシュタイン対ガス人間」の検討用脚本(第1稿)が関沢新一によって書かれたが、巨大怪物同士の対決を要請していたベネディクト・プロの意向に沿って、新たに木村武により1964年7月3日に「フランケンシュタイン対ゴジラ」の検討用の脚本が書かれた。
これが本作「フランケンシュタイン対地底怪獣」の原形となった脚本である。

脚本の木村武は、本作から馬淵薫(まぶちかおる)とペンネームを変えるのだが、以前には「空の大怪獸ラドン」(1956年)、「美女と液体人間」(1958年)、「ガス人間第1号」(1960年)、「世界大戦争」(1961年)、「マタンゴ」(1963年)といった、その根底に流れる哀しみを共通のテーマとした名作を生み出した人物であった。
そして木村武は、ゴジラ映画の持っていた怪物同士の対決というエンターティメント性と人間のエゴと残酷性に翻弄される、「心」を持って生まれてきてしまった怪物の悲哀を併せ持った秀作「フランケンシュタイン対地底怪獣」の脚本を誕生させたのだった。
登場人物それぞれの思いが織り成す人間ドラマ、20メートルの巨人が眼の前に現れる驚きと恐怖、富士の樹海を燃え上がる炎で真っ赤に覆い尽くした巨人と獣との死闘。
繊細なる本編演出の本多猪四郎監督と円熟味を増した円谷英二特技監督との黄金コンビが、この脚本を見事に映像化した。
また、フランケンシュタインの怪物の人間性、そしてその悲しさと寂しさをさらに引き立たせているのは秋田油田の発掘により目覚め、ただ、餌を求めて人や動物を喰いちらす獰猛な肉食獣バラゴンのキャラクター造形の魅力でもある。
海外を意識し、狛犬をイメージしたというバラゴン。これは日本特撮怪獣映画の黄金期を支えた東宝特殊美術の力によるものである。


最後に、現在、本作品で確認されている4種類のバージョンを、今一度、整理してみた。
※2007年1月26日、東宝より「東宝特撮巨大生物箱DVD-BOX」の特典映像ディスクとして、海外公開版と称するバージョンが初ソフト化された。その結果、現在5種類のバージョンが確認される事となった。(2007.7.15加筆)
※2007年8月24日にリリースされたドイツ再発盤DVDに、西ドイツ公開版として海外公開用の上映規定に2分間足りず追加撮影された“病院を脱け出すシーン”と“団地で暴れるシーン”が挿入された、英語圏公開版と思われるバージョンが初ディスク化された。
※英語圏公開版参照(2008.02.08加筆)

本作品で確認されている5種類のバージョン
1.劇場公開版
1965年8月8日(日)に国内劇場公開されたバージョン。約90分。
バラゴンを倒したフランケンシュタインが両手をかかげ、雄叫びと共に地割れに埋没するエンディング。1991年8月1日、東宝再発版ビデオの巻末に初収録された。
写真左より1965年(昭和40年)8月3日(火)朝日新聞(夕刊)、8月5日(木)讀賣新聞(夕刊)、8月7日(土)朝日新聞(夕刊)
<画像クリックで拡大>
2.テレビ放送版
関東地方では1971年(昭和46年)4月8日木曜夜8時〜9時26分、日本テレビ系列にて初放映された。
(→参考特撮怪獣映画テレビ放映史)
突然ラストに大ダコが登場し、劇場公開版を観ていた特撮ファンがブラウン管の前で驚いたという、いわゆる海外版が初公開された日となる。
1971年(昭和46年)4月8日(木)
朝日新聞 PM8:00〜PM9:26
木曜映画劇場
「フランケンシュタイン対地底怪獣」
<画像クリックで拡大>
別撮りされた大ダコ登場シーンは何らかの理由で正式な海外版として使用される事はなかったが、テレビ放映向けの16ミリプリントに使用されていた。
テレビ放映版は前半の所々と、フランケンシュタインとバラゴンの死闘を一部カット。また、エンディングには海外版用に撮影した大ダコ登場シーン約4分が付加された約81分版となる。
ラストが違うというインパクトある変更だった為、放映後テレビ局に問い合わせが入ったという。
ちなみに再放送は翌1972年(昭和47年)2月26日土曜夜8時〜9時26分、同じく日本テレビ系列となる。
1972年(昭和47年)2月26日(土)
朝日新聞 PM8:00〜PM9:26
木曜映画劇場
「フランケンシュタイン対地底怪獣」
<画像クリックで拡大>
当時の劇映画のテレビ放映は同じチャンネル(テレビ局)で1年ないし2年の間に数回放送される事が多かったが、おそらくこれはテレビ局が映画会社から放映権を買う際の契約で、放送期間と回数が決められていた事によるものと思われる。
「フランケンシュタイン対地底怪獣」は、例えば1年間に再放送分を含む2回という形などで契約されたものではないだろうか。
また、1972年2月26日(土)の再放映(NBC長崎放送)の際には、長崎の某団体が東宝に対して「被曝に対して誤った印象を与える」と抗議している。
これはテレビ欄の劇映画紹介に「原爆の放射能によって〜」との記載があった事も関係していると思われる。(※テレビ欄拡大画像参照)
「ウルトラセブン」(第12話)スペル星人が登場する"遊星より愛をこめて"が1970年10月に欠番扱いとなった同じ流れを汲む抗議となる。
以降、名画座での上映と劇場予告編以外は下記1984年3月25日「東宝怪獣・SF大百科 第4巻」ビデオ(TA1261-V)に収録されたダイジェスト版及び1985年11月1日東宝初版VHSビデオ(TG1161)リリースまで、民放ではテレビ放映されていないはずだ。

※1979〜1980年頃にはこの16ミリプリントから落としたと思われる海外版の海賊版ビデオが出回った。
※“大ダコ登場のエンディング”は、海外からのリクエストを受けて後から追加撮影されたといわれていたが、実は“地割れに埋没するエンディング”とほぼ同時期に別撮影された。撮影中、山の中に何故大ダコが現れるのかと撮影スタッフも戸惑っていたようだ。
大ダコ登場のシークエンスが正式な海外版として使用されなかった理由として「キングコング対ゴジラ」のような本物の蛸との合成を期待していたベネディクト・プロが、操演用モデルの大ダコの出来に満足しなかったという説がある。
※大ダコ登場シーンは怪獣映画的に見栄えが良いという理由で国内正規版に格上げされたものらしい。
※1980年頃、池袋文芸座で特集上映された本作は雄叫びと共に地割れに埋没する劇場公開版だった為、この時点で2種類のラストが正規版として存在していた事が確認されている。
3.海外版
1985年11月1日、東宝ビデオ初リリース時に“幻の海外版”全長版として初めてソフト化されたバージョン。約94分。
エンディングに、海外版用に別撮影した大ダコが登場するシーン約4分を付加したいわゆる海外版。
※何故、劇場公開版ではなく大ダコ登場の海外版がリリースされたのか不明だが、オリジナルネガが大ダコ登場の海外版に差し替えられてしまっていたから、という説もある。
※大ダコ登場シーンのBGMは「キングコング対ゴジラ」のBGM(M13)を流用している。
※大ダコ登場シーンを海外版として初めて紹介したのは1984年3月25日にリリースされたダイジェスト版ビデオ「東宝怪獣・SF大百科 第4巻」。
4.海外公開復元版
2007年1月26日「東宝特撮巨大生物箱DVD-BOX」の特典映像ディスクとして初ソフト化。
海外公開用「FRANKENSTEIN CONQUERS THE WORLD」タイトルバージョン 84分47秒版。海外公開用に追加撮影された“病院を脱け出すシーン”と“団地で暴れるシーン”は挿入されていない。
国内劇場公開された約90分版の各所から合計約5分ほどつまんで短縮し、クレジットタイトル及び地名を表示するテロップを英語版に差し変えたバージョン(→削除された部分はこちら)。アメリカで作られたマスターとの事。

ちなみにアメリカ劇場公開までの製作当時の経緯を、現状の資料等から推測すると、
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1.国内劇場公開版プリントと海外版用にと別撮影された上記大ダコが登場するシーン約4分のプリントを海外編集・配給権を持つアメリカのベネディクト・プロに送った。
2.ベネディクト・プロから海外公開用の上映規定に2分足りないからという理由で追加撮影が要請された。(※ベネディクト・プロはこの時点で、日本より送られてきたフィルムを元に編集作業を行い、操演用モデルの大ダコ登場シーンの出来に満足せず、このシークエンスを使わないと判断したものと推測する。)
3.日本で追加撮影されたものが下記「5.英語圏公開版」に記載した“病院を脱け出すシーン”と“団地で暴れるシーン”であり、撮影完了後アメリカに送った。
※海外公開用に追加撮影された“病院を脱け出すシーン”と“団地のシーン”は、フランケンシュタインのメイクが明らかに違う為、後撮影されたものである事に間違いはない。
4.海外版の最終的な編集権を持つベネディクト・プロは“病院を抜け出すシーン”と“団地で暴れるシーン”のみを使用して編集しアメリカにて公開した。
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という流れになるのではないか…。
なお、解説書によるとアメリカにて1966年7月8日に劇場公開されたと記載があるが、上記の理由からこのバージョンがそのまま公開されたのでは無いと思われる。
5.英語圏公開版 (※上写真左は西ドイツ公開版タイトル)
海外公開用の上映規定に2分間足りず追加撮影したシーンが挿入され、アメリカで1966年7月8日に公開されたバージョン。
挿入されたシーンは、フランケンシュタインが取材にきたテレビ局のカメラマンの強力なライトの光に怒り暴れだし病院を逃げ出すシーン内の一部と、団地で街灯を破壊し車を放り投げるシーンの2箇所で、いずれも東宝ニューマスター盤LDと東宝盤DVDの特典映像に海外版特撮カットとしてスタンダードサイズ版が初収録されている。東宝には「サンダ対ガイラ」の海外版シーンともどもスタンダードサイズ版しか保存されていなかったようだが、実際にはシネスコかビスタサイズだったと思われる。
海外版用に追加撮影したはずの大ダコ登場シーンは付加されていないが、その代わり大ダコ登場シーンのBGM(「キングコング対ゴジラ」のBGM、M13)を国内劇場公開版エンディングのラスト部分に使用している。(このBGM挿入は上記海外版でも確認できる。)
上記の情報は1985年に発売されたサントラ盤アナログレコードに記載されている元山掌氏の解説にも記載がある。
※アメリカではテレビ放送された事もある。
※2007年8月24日にリリースされたドイツ再発盤DVDに、海外公開用の上映規定に2分間足りずに追加撮影された“病院を脱け出すシーン”と“団地で暴れるシーン”が挿入された、英語圏公開版にもっとも近いバージョンが西ドイツ公開版として初ソフト化された。
西ドイツ公開日は1967年7月13日。エンディングには、やはり大ダコは登場しない。また、上記通り大ダコ登場シーンのBGM(「キングコング対ゴジラ」のBGM、M13)が国内劇場公開版エンディングのラストに使用されている。
ドイツ語の解説書によるとアメリカ公開は1966年7月8日で、西ドイツ公開はそれから1年後の1967年7月13日との記載あり。また、尺はアメリカ、西ドイツとも87分。本編実測は83分20秒だがPAL方式なので約3分強程早回しとなる。
※ディスク本編の詳細はこちら→
また、フランケンシュタインがバラゴンを持ち上げたまま地割れに埋没するというエンディング説もあるのだが、現在までの所このラストは思いこみの記憶違いとされている。1979年頃から池袋文芸座や浅草などでたびたび怪獣映画特集としてオールナイト上映されたものなどは、すべてフランケンシュタインが両手をかかげ雄叫びと共に地割れに埋没する劇場公開版であった。
国内盤DVDの特典音声に収録された特撮キャメラマン有川貞昌氏のコメンタリーでも、そのようなラストの撮影は記憶に無いと語られている。(2004.09.17)


※本ページをご覧になった方々から「確かに観た!」とのメール報告も受けております。映画館の場所や状況まで記載されてお送りくださる方もいらっしゃいました。
しかし、もし本当にバラゴンを持ち上げたままフランケンシュタインが地底に沈んでいったラストが存在するとすれば、フランケンシュタインが両手をかかげたまま地中に埋没する現状のバージョンと、バラゴンを持ち上げたまま地底に沈んでいくバージョンをどのように使い分けたのかが謎となり、何故そのような事をする必要があったのか?という事が新たな疑問となります。
実際に写真や映像で確認出来ればはっきりするのですが真偽は未だ謎のまま…。(2007.7.15加筆)
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VIDEO & LD GALLERY
●「東宝怪獣・SF大百科 第4巻」
ダイジェスト版VHSビデオ
<TA1261-V>
1984年3月25日
●「東宝怪獣・SF大百科」
東宝盤LD 3枚組完全復刻版
<TLL2508>
1997年9月5日
海外版ラストの大ダコとの闘いが初収録されたダイジェスト版ビデオ。
「怪獣大戦争」「サンダ対ガイラ」と合わせアメリカのベネディクト・プロ合作三部作のダイジェスト版映像となる。各作品10分、計30分収録。
あのテレビ放送された大ダコとの闘いはやはり見間違いではなかったのだと納得安心した。
東宝特撮映画35作品をダイジェストで紹介した左記ビデオ版「全11巻」を3枚組LDとして完全復刻したレーザーディスク版、330分収録。未DVD化。
スタンダードサイズ収録。本編映像部分は一部シネスコ&ビスタサイズにて収録。
構成・演出は本多猪四郎、監修は田中友幸。ナレーションは「フランケンシュタイン対地底怪獣」「怪獣大戦争」にてニック・アダムスの声を吹き替えた納谷悟朗。
■DISK-1
第1巻:ゴジラ/ゴジラの逆襲/空の大怪獸ラドン
第2巻:大怪獣バラン/キングコング対ゴジラ/モスラ
第3巻:モスラ対ゴジラ/宇宙大怪獣ドゴラ/三大怪獣 地球最大の決戦
第4巻:フランケンシュタイン対地底怪獣/怪獣大戦争/サンダ対ガイラ

■DISK-2
第5巻:ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘/キングコングの逆襲/怪獣島の決戦 ゴジラの息子
第6巻:透明人間/獣人雪男/地球防衛軍
第7巻:美女と液体人間/宇宙大戦争/電送人間
第8巻:ガス人間第1号/妖星ゴラス/マタンゴ

■DISK-3
第9巻:海底軍艦/怪獣総進撃/緯度0大作戦/ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃
第10巻:決戦!南海の大怪獣/ゴジラ対ヘドラ/地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン/ゴジラ対メガロ
第11巻:ゴジラ対メカゴジラ/メカゴジラの逆襲/惑星大戦争
ビデオに封入されていた解説書も24ページブックレットとして完全復刻。
映像の二次使用(ソフト化)の権利が不明だったため2006年4月のDVDリリースまで国内ソフト化されなかった「緯度0大作戦」は予告編映像で対応。
また、その差別的内容から今もって国内未ソフト化状態の「獣人雪男」の映像が見られる貴重なディスクともなる。
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●東宝ビデオニュース&
東宝初版VHSビデオ
<TG1161>
1985年11月1日
海外版94分・シネスコ版。紙パッケージ仕様。ラストに大ダコが登場する幻の海外版として初ビデオリリース。バージョン違いとしてリリースされた先駆的な作品ともいえる。
開始74分前後の不適切な発言は削除。

東宝とベネディクト・プロ提携による初の日米合作怪獣映画となった本作だが、海外版プロデューサーは当時、アメリカ全土と西半球でのゴジラ映画の配給権利を取得していたアメリカのHENRY G. SAPERSTEIN(ヘンリー・G・サパースタイン)。
本作に「キングコング対ゴジラにでてきたような大ダコをだしてくれ!」と無茶なリクエストをした人物でもある。
ヘンリー・G・サパースタインは、ジョン・ブアマン監督、リー・マーヴィン、三船敏郎主演の「太平洋の地獄」(68年)の製作総指揮としても知られている。
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●東宝初盤LD
1987年4月21日 東宝<TLL2082>
海外版94分・シネスコ版、初ディスク化。
本編は上記初版VHSビデオ(TG1161)と同様の海外版。解説書封入。
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●東宝再発版 VHSビデオ
<TG4227>1991年8月1日
海外版94分・シネスコ版。貴重なメイキング写真掲載の解説書封入。
収録されている全長版は海外版だが、未リリース状態だった国内劇場公開版のラストを幻のバージョンとして巻末に初収録。
開始74分前後の不適切な発言は削除。
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●東宝再発盤LDニューマスター版
1992年7月1日 東宝<TLL2383>
劇場公開版の全長版初リリース、90分・シネスコ版。
巻末に海外版エンディング(大ダコ登場)、予告編、海外版特撮カット(スタンダードサイズ)、未使用特撮カット収録。解説書封入。
カットの切れ目の下に次のカットの上部が写るスプライス跡が目立つ。
海外公開用の上映規定に2分間足りず追加撮影された特撮カットを特典映像として初収録。(上記バージョン説明「5.英語圏公開版」参照)。
開始74分前後の不適切な発言は削除。
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DVD GALLERY
●東宝初盤DVD ジュエルケース版
2001年10月25日 東宝<TDV2625D>
スクイーズ収録。海外版と劇場公開版の両エンディングを選択可能だが、初期設定では海外版が再生される。
特典映像として特報(1分)、劇場予告編(2分)、海外版エクストラ・フッテージ(※海外版特撮カット スタンダードサイズ収録 3分)、未使用特撮カット(1分)、劇場用カラースチール(静止画)、東宝俳優名鑑(オールスターキャスト紹介・静止画)収録。

音声:日本語モノラル/2001Remix5.1チャンネル・サラウンド/BGMトラック/オーディオコメンタリー 有川貞昌
オールカラー16P解説書封入

封入解説書に“「フランケンシュタイン対ガス人間」は、ジョン・メレディス・ルーカスの「ガス人間」を原作とした物で、脚本は関沢新一。この作品は第一稿で中止となり、脚本の一部は後の「ガス人間第1号」に流用されている。”と記載されているが、1963年に書かれた第1稿が、60年に公開された「ガス人間第1号」に流用されるわけがなく、流用されたのは「フランケンシュタイン対地底怪獣」の間違い。
開始74分前後の不適切な発言は作品のオリジナル性を尊重して、そのまま収録。
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●法蘭克對地底怪獣
中国盤VCD(2枚組)
2002年
オープニング・エンディングタイトルのみシネスコサイズ収録、本編はテレビサイズ収録。
日本語・中国語の二カ国語収録、中国語字幕付。
ラストに大ダコの登場する海外版94分。

画像はかなり悪い。74分前後の不適切な発言も削除されているので、おそらく国内版VHSかLDからコピーしたものと思われる。
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●Frankenstein VS
Baragon
タイ盤VCD
<EVC1-0208>
2003年
EVS ENTERTAINMENT
PAL方式、2枚組。多少左右をカットしたビスタサイズ、タイ語吹替版。
ラストに大ダコの登場する海外版。
中国盤VCDよりは画質は良いが、クレジットタイトルも日本語で中国盤VCDと同じように国内版VHSかLDからコピーしたものと思われる。

冒頭に「ゴジラvsデストロイア」「ゴジラvsモスラ」「キングコング対ゴジラ」。エンディング後に「ゴジラvsビオランテ」の日本語版劇場予告編にタイ語タイトルを挿入したタイ版予告編付。
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●東宝特撮巨大生物箱
DVD-BOX
東宝再発盤DVDトールケース版
2007年1月26日
<TDV17007D>
※単品版<TDV17012D>
トールケース再発盤。ジュエルケース版と映像同じ。
チャプターを記載したペラ解説書封入。ジュエルケース版に封入されていたオールカラー16ページ解説書は未封入。
巨大生物箱 DVD-BOXに収録のDVDジャケット裏のバーコード部分には「東宝特撮」のネームロゴ表記有り。
HENRY G. SAPERSTEINとベネディクト・プロは、東宝怪獣映画では本作「フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン」、「怪獣大戦争」(1965年12月19日)、「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」(1966年7月31日)の三作品と関係する事となる。

また、東宝がキングコングの著作権契約が切れる前に「ロビンソン・クルーソー作戦 キングコング対エビラ」というキングコングを登場させる映画を企画した際、この企画に難色を示したのもベネディクト・プロであった。
結局この企画は、キングコングの代わりにゴジラを登場させ「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」(国内劇場公開1966年12月17日、アメリカではテレビ放映のみ)として映画化されるが、ベネディクト・プロは提携先として、この作品にもある程度の投資をしていた事が伺えるエピソードである。

余談だが、1966年6月2日(木)PM10:30〜11:00にTBS系で放送された実相寺昭雄演出のドキュメンタリー作品「現代の主役 ウルトラQのおやじ 円谷英二監督(東宝)」(※ウルトラマン前夜祭「ウルトラマン誕生」とのカップリング版でビデオリリース済みのモノクロ作品)の中で、おそらく富士の裾野でのガイラ撃滅戦のシーンと思われる「サンダ対ガイラ」の貴重な撮影風景と共に、昼食時に有川貞昌氏を呼び「次回作はキングコングとモスラをやるよ、本編は本田くんに代わり、福田くん。こちらは、有川班をたててやるよ…」的な会話をしているシーンが収録されている。
この会話にでてくる作品が「ロビンソン・クルーソー作戦 キングコング対エビラ」だったのだ…。
東宝特撮巨大生物箱
DVD-BOX
FRANKENSTEIN CONQUERS THE WORLD
海外版
東宝特撮 巨大生物箱DVD-BOX封入版
2007年1月26日 東宝<TDV17007D>
2007年1月26日「東宝特撮 巨大生物箱 DVD-BOX」の特典映像ディスクとして初ソフト化された「FRANKENSTEIN CONQUERS THE WORLD」タイトルバージョン。
国内オリジナル版90分の各所から合計約5分ほどつまんで短縮した短縮版84分47秒版。
英語吹替モノラル音声、日本語字幕収録。

左右カットのビスタスクイーズにて収録されているが、クレジットタイトル及び地名を表示する日本語版文字テロップシーンになると、画質の悪いシネスコサイズの英語版テロップシーンになる。
アメリカで作られたニューマスターとの事で、おそらくアメリカ公開版として復元されたものと思われるが、"病院を脱け出すシーン"と"団地で暴れるシーン"は挿入されていない。
画質の悪いシネスコサイズの英語圏公開版フィルムに残っていたものの、本編との画質差が大きいため、あえて削除されたものではないかと推測する。
マスターの出所は不明だが、本編のほとんどを占めるビスタサイズ部分は映画フィルム風の映像でフィルムグレインのような粒子も見え、解像度が高く、国内盤DVDよりも画質は良い。
またビスタスクイーズ収録のため16対9のモニター画面いっぱいに映像が表示され、迫力がある。ビスタサイズの海外版は本DVDのみで見られる映像となる。

メニュー画面から東宝特撮巨大生物箱、空想科学箱DVD-BOXのプロモーション映像(3分58秒)を見ることが出来る。

公開当時、海外版の最終的な編集権利を持っていたベネディクト・プロは、HENRY G. SAPERSTEIN(ヘンリー・G・サパースタイン)により設立された制作会社だった。また、アメリカでの興行を行ったのは、クレジットタイトルにも記載が有るようにアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ=AIP。
AIPは、1954年にジェームズ・H・ニコルソンとサミュエル・Z・アーコフが設立した映画配給製作会社で、1950年〜60年代にロジャー・コーマン監督作品などに代表される低予算ながら個性的な作品を数多く創りだした事で知られている。
その代表者であるサミュエル・Z・アーコフは、63年、本合作企画映画の打合せのために来日を果たしている。
※AIPに関しては、ロジャー・コーマン作品「X線の眼を持つ男」も参照。
■国内劇場公開版より削除されたシーン<5分03秒>
○00:00〜00:13 オープニングクレジット東宝マーク
○01:41〜01:48 冒頭の“一九四五年 連合軍 ドイツ突入”のテロップ部分
○04:41〜05:38 フランケンシュタインの心臓を引き取りに向かう日本の伊号潜水艦のシークエンス〜村田艦長(田島義文)と河井大尉(土屋嘉男)の会話まで
○13:28〜13:47 小学校の教室に兎の死体が投げ込まれていた事を報じる新聞記事のアップからボーエン博士が戸上李子の家に車で訪れるシーンまで
○14:34〜15:05 誕生日のお祝いに訪れたボーエン博士と戸上李子が差し向かいで食事をする前半のシーン(日本のおそらく味噌汁の作り方についてのボーエン博士のセリフあたりまで)
○17:03〜18:51 原爆症で死去した入院患者、遠井田鶴子(沢井桂子)の墓参りを兼ねてドライブに向かうボーエン博士と戸上李子のシーン。墓参りを終え、海岸を歩く二人のシーンの直前まで
○25:30〜25:33 ボーエン博士の「とにかく、檻に入れるか鎖に繋がなくては」の台詞部分
○31:37〜31:41 檻で寝ているフランケンシュタインのシーン
○45:32〜45:38 大阪の英語地名テロップ表示後、横移動するカメラの途中から大阪府警の建物にズームインするシーンまで
○50:01〜50:24 自衛隊の戦車などが出動するシーンに、フランケンシュタインの目撃場所を示した地図がオーバーラップされるシーン
○53:43〜53:53 フランケンシュタインが猪を捕獲する為に掘った落し穴に落ちた戦車に、自衛隊員達が駆け寄るシーンから、突進してくる猪を思わずよけるシーン
○55:25〜55:30 バラゴンに襲われる白根ヒュッテの看板(日本語)へのズーム
○1:18:57
〜1:19:03
崖下に転落した川地(高島忠夫)を助けたフランケンシュタインが、ボーエン博士と戸上李子の車の前に現れ、川地を置いて再び森に入っていく足元のシーンから、二人が川地を車に乗せようと道端で抱きかかえるシーンまで
○1:19:08
〜1:19:16
川地を車に乗せるシーン
○1:29:42
〜1:29:45
エンディングタイトルが表示されるまでの燃える樹海のアップシーンを約3秒程カット
※大ダコは登場せず、バラゴンを倒したフランケンシュタインが両手をかかげ、雄叫びと共に地割れに埋没する国内劇場公開版のエンディングだが、大ダコ登場シーンのBGM(「キングコング対ゴジラ」のBGM、M13)のみがラストに挿入されている
※秒数表記はいずれも目安
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●FRANKENSTEIN CONQUERS THE WORLD
米国盤2枚組DVD 2007年6月26日
Media Blasters<TSDVD0711>
コード1、2枚組米国盤DVD。
アメリカでは「フラバラ」初ソフト化と思われる。

●ディスク-1
東宝盤DVDマスターをほぼそのまま流用した国内オリジナル版収録。
東宝盤DVD同様インターナショナル版(※大ダコが登場する海外版)と、国内劇場公開版の2バージョンを収録。シネスコスクイーズ、チャプター付。

音声/東宝盤DVD同様、日本語オリジナルモノ音声、日本語5.1ch音声、有川貞昌の日本語オーディオコメンタリーがそのまま収録。英語吹替音声は未収録。
字幕/英語字幕、有川貞昌オーディオコメンタリー用英語字幕収録

「海底軍艦」(ATRAGON)、「宇宙大怪獣ドゴラ」(DOGORA)、「地球防衛軍」(THE MYSTERIANS)、「マタンゴ」(MATANGO)の劇場予告篇も収録。


●ディスク-2
同じく東宝盤DVDマスターを流用して上記東宝特撮巨大生物箱DVD-BOX封入の海外版DVD(TDV17007D)とほぼ同じ編集を施した海外公開短縮版。やはり"病院を脱け出すシーン"と"団地で暴れるシーン"は挿入されていない。
シネスコスクイーズ、チャプター付。

本編84分47秒版。東宝特撮巨大生物箱DVD-BOX封入の海外版DVDでは英語テロップのシーンになると画面サイズがビスタからシネスコに変わったが、本米国盤DVDは全編シネスコサイズでの収録となる。

音声/英語吹替モノラル音声・英語5.1ch音声収録。
字幕/無し

・特典映像
東宝盤DVDに収録されていた特報(1分)、劇場予告篇(2分)、特撮未使用カット(1分)、海外版エクストラフッテージ(3分)収録(※東宝俳優名鑑は未収録)。

また、日本版・西ドイツ版・アメリカ版・メキシコ版ロビーカード、日本版コミック(冒険王9月特大号ふろく)、国内劇場プログラム表紙、各国ポスター、アメリカ公開時のモノクロロビー用スチール・メイキングスチール・キャンペーンマニュアル・新聞記事&広告・宣伝等の貴重なフォトギャラリー収録。
(ちなみに東宝盤DVDは国内劇場用ロビーカードのみしか収録されていない。)
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●FRaNKENSTEIN - Der Schrecken mit dem Affengesicht
KAIJU CLASSICS
ドイツ盤DVD 特典CD付
2007年8月24日 ANOL S ENTERTAINMENT<ACE003>
※西ドイツ版オリジナルポスターを使用したスチールケース仕様のパッケージ
●封入特典CD
WDR(西ドイツ放送)制作 ラジオドラマ
「広島のフランケンシュタイン」
・Horspiel-CD "FRaNKENSTEIN in Hiroshima" von Jorg Buttgereit
西ドイツ放送(WDR)制作のラジオドラマ(?) 「広島のフランケンシュタイン」収録のCD。
フラバラをラジオドラマ風に再現。ドイツ語音声版47分02秒。
PAL方式・コード2 国内のプレイヤーでは再生不可。
20ページカラーブックレット封入。

貴重な西ドイツ公開版と国内海外版(大ダコ登場)の2本収録。映像は2本とも全体的にかなり明るい。
封入特典として西ドイツ制作ラジオドラマ「広島のフランケンシュタイン」CD付。
メタルケース(スチールブック)に収納されたANOLIS ENTERTAINMENT[KAIJU CLASSICS]シリーズ ドイツ盤DVD。


■西ドイツ公開版(英語圏公開版87分)
本編83分20秒版(早回し版) シネスコ・スクイーズ(2.35:1)収録
ドイツ語オープニングクレジット版 チャプター付。
※日本語音声(モノ)・ドイツ語音声(モノ)/ドイツ語字幕収録。

Constantim FILM bringt(提供)
NICK ADaMS in FRaNKENSTEIN Der Schrecken mit dem Affengesicht 
TOHO CO Ltd./ HENRY G. SaPERSTEIN ENTERPRISES
(ちなみにTakao Takashima←高島忠夫の名前が違う。)
エンディング表記は“ENDE”。

海外公開用の上映規定に2分間足りないため、国内で追加撮影された"病院を脱け出すシーン"と"団地で暴れるシーン"が本編内に挿入されている西ドイツ公開版(英語圏公開版87分)。
東宝再発盤LDニューマスター版、東宝盤DVDに収録されている追加撮影シーンはスタンダードサイズ収録だったため、シネスコサイズとしても初公開となる(ビスタサイズの天地をカットしてシネスコサイズにトリミングしているのかどうかは不明)。
また大ダコが登場せず、バラゴンを倒したフランケンシュタインが両手をかかげ、雄叫びと共に地割れに埋没する国内劇場公開版のエンディングに大ダコ登場シーンのBGM(「キングコング対ゴジラ」のBGM、M13)が挿入されている。

オープニングはドイツ語版クレジットに差し替えられているが、地名を表示するテロップ等は英語表記のままで、本編映像とのつながりもスムーズ。一部、ドイツ語版テロップも表示されるが、英語版にレイヤー状態で表記処理をしているようだ。
また、土屋嘉男演じる河井が秋田油田の作業所で読んでいる“広島で見つかった放射能に強い怪童”という新聞記事のアップがドイツ語ではなく、“Baptism By A-Bomb? Strange Child With Strong Resistance To Radiation Found in Hiroshima”という、英語版の新聞記事に差し替えられている事からも、おそらく英語圏公開版フィルムを元にドイツ公開版として作り替えられていたものをマスター、あるいは復元するための元映像としていると思われる。
ちなみに東宝特撮巨大生物箱DVD-BOX内封入の海外版では、新聞記事は日本語のまま。

国内公開オリジナル版から削除されたシーンは、上記「東宝特撮 巨大生物箱 DVD-BOX」特典映像ディスク収録の「FRANKENSTEIN CONQUERS THE WORLD」(TDV17007D)およびMedia Blasters製米国盤DVD(TSDVD0711)海外版とほぼ同じだが、さらに下記のシーンに差異がみられる。

○31:37〜31:41 檻で寝ているフランケンシュタインのシーンがある
○45:32〜45:38 大阪の英語地名テロップ表示後、横移動するカメラの途中から大阪府警の建物にズームインするシーンがある
○50:01〜50:24 自衛隊の戦車などが出動するシーンに、フランケンシュタインの目撃場所を示した地図がオーバーラップされるシーンがある
○55:25〜55:30 バラゴンに襲われる白根ヒュッテの看板(日本語)へのズームが、英語圏版用に英語テロップで挿入される
○1:18:57
〜1:19:03
崖下に転落した川地(高島忠夫)を助けたフランケンシュタインが、ボーエン博士と戸上李子の車の前に現れ、川地を置いて再び森に入っていく足元のシーンから、二人が川地を車に乗せようと道端で抱きかかえるシーンまでがある
○1:19:08
〜1:19:16
川地を車に乗せるシーンがある
○1:15:57
〜1:16:05
※編集違い
倒れて気絶してしまった戸上李子を助けに来たフランケンシュタインがバラゴンの角を持って起こそうとするシーンと、ボーエン博士が戸上李子を抱えて逃げようとするシーン、そしてフランケンシュタインがバラゴンを投げようとする直前までのシーンが、 1:16:33のフランケンシュタインがバラゴンの熱線を受けてもひるまず向かおうとするシーンと、崖の上で川地がボーエン博士と李子を探しているシーンとの間に挿入されている。これは明らかに編集ミス。
※秒数表記はいずれも目安

編集違いのシーンは、公開当時の英語圏公開版フィルムがもともと編集を誤っていたのかもしれず、上記Media Blasters版米国盤海外版DVD(TSDVD0711)では、編集の際にその間違いに気づき、国内版通りに修正されたものではないだろうか。

西ドイツ公開は1967年7月13日。(アメリカ公開は1966年7月8日)

文章量の多い20ページカラーブックレットが付属。ひょっとしたら公開当時のいきさつなども記載しているのかもしれないが、残念ながらドイツ語なので理解できない。

●特典映像
・ドイツの映画監督でありライターのJorg Buttgereitによる音声解説
・ドイツ版劇場予告篇
・アメリカ版劇場予告篇

西ドイツ版・アメリカ版ともに映像内容は同じで、音声・テロップ違い。映像状態は悪いが、かなり貴重な予告編映像だ(アメリカ版の予告篇もドイツで保存されていたという事になる)。
・日本版劇場予告篇
・スーツアクター中島春雄インタビュー 31分(日本語音声・ドイツ語字幕) 
2004年Jorg Buttgereitによる日本でのインタビュー映像のようだ。
・各国のロビーカード、宣材、フィギア、ポスター等紹介
・ドイツ版劇場プログラム(静止画収録)
・DVD制作クレジット


■日本版本編
エンディングに大ダコが登場するいわゆる海外版(94分)が、日本版本編としてフル収録。
本編実測89分20秒(早回し版)。
日本語音声(モノ)・ドイツ語音声(モノ)/本編用ドイツ語字幕収録
東宝マークはインターナショナル版だが、オープニングクレジットはオリジナル日本語版。

ドイツの映画監督、ライターのJorg Buttgereitによる音声解説が特典として収録されている。音声解説はドイツ語音声のみで英語・日本語字幕は無い。
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●東宝特撮映画DVDコレクション
No.17 付録DVD
2010年5月11日(火)
デアゴスティーニ・ジャパン

隔週刊にてリリースされたDVD付きマガジン「東宝特撮映画DVDコレクション」。
作品解説、怪獣図鑑、兵器図録、俳優名鑑、撮影秘話、資料館、川北紘一監督に訊くといった内容のA4変型マガジン(片面見開きポスター含む22ページ)にDVDを付録としてつけたもの。

マガジンには、アメリカ側のプロデューサーとして東宝撮影所を訪れたヘンリー・G・サパースティンと兼シナリオライターのルーベン・バーコヴィッチ両氏のスナップ、サミュエル・Z・アーコフを交えた水野久美とのスナップ、また海外の宣材やフランケンシュタイン役古畑弘二氏の経歴など貴重な写真や資料が掲載。

DVD収録の本編映像は国内盤DVD(TDV2625D)と同一マスター。
バラゴンを倒したフランケンシュタインが両手をかかげ、雄叫びと共に地割れに埋没するエンディングの国内公開版のみ収録。大ダコ登場の海外版は未収録。
本編/シネスコ(2.35:1)スクイーズ、90分オリジナル版収録、チャプターメニュー
音声/日本語モノラルのみ
特典映像として次号予告「怪獣総進撃(※ゴジラ電撃大作戦版)」劇場予告編(2分33秒)、本DVD付マガジンシリーズガイド&定期購読のご案内(6分08秒)収録

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●FRANKENSTEIN
ALLA CONQUISTA DELLA TERRA
イタリア盤DVD
2011年8月30日
PULP video<PSV40106>
PAL方式・コード2 チャプターメニュー付 シネスコスクイーズ収録
東宝盤DVDマスターをそのまま流用したインターナショナル版(※大ダコが登場する海外版)のみ収録、本編93分13秒版(※早回し版ではない)。

-イタリア語吹替音声5.1ch・2.0ch、日本語音声2.0ch収録
-イタリア語字幕収録(ON・OFF可)

※現存するイタリア語吹替音声(劇場公開版?)を使用しているようで、吹替音声の存在しないシーンは日本語音声、イタリア語字幕となる。

■特典映像
国内盤DVD収録のものと同じ日本公開版劇場予告編(TRAILER ORIGINAL 2分19秒)、日本公開版特報(TEASER 42秒)収録
※メニュー画面の選択ボタンが逆。
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SOUNDTRACK GALLERY
●オリジナル・サウンド・トラック/アナログ盤
<K18G-7261〜2>
1985年キングレコード
初回特典B2特製ポスター付

劇場公開版、予告編、海外版ラストを収録したドラマ編プラス、それまでに未発表だったBGMと、フランケンシュタインとバラゴンの死闘M27、M28、M29のBGMが収録された2枚組サントラ盤アナログレコード。
ドラマ編はステレオ、BGM集はモノラル収録。

ジャケット中面には未公開スチール、かなり細かいフォト・ストーリー、BGM全曲リストなどの6ページにおよぶ貴重な解説書付。
初回特典としてB2特製ポスター付。

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●オリジナル・サウンド・トラック/CD
東宝怪獣映画選集7<TYCY-5504>
1997年3月12日東芝EMIユーメックス

サントラ盤BGM全曲収録版。アナログ盤レコードには収録されていなかった未使用「手首発見 M15」(「残された手首 M16」の短いバージョン・未使用)が新収録。
別テイク集として「フランケンシュタインが見るTVのゴーゴーダンスミュージック M9T1」(白根ヒュッテに流れるゴーゴーのファーストバージョン)、「琵琶湖遊覧船ダンス M18A」(NGテイク)、さらに海外版用音楽として、英語圏用公開フィルムで使われた「怪人逃走 M13」「別離 M14」を新収録。

フランケンシュタイン対大ダコで使われた「キングコング対ゴジラ M13」も収録。
また、アナログレコードに収録されていたドラマ編は未収録だが、効果音集として「フランケンシュタインの心臓音(2種)」「潜水艦潜航時警報」「フランケンシュタインの声」「バラゴンの鳴き声」「予告編」が収録。
作品解説、音楽概要、全バックミュージックの解説、楽器編成、楽曲リスト、用語集、伊福部昭プロフィールとコメント、作品データ、貴重なスチールなど資料的価値の高い解説書封入。

解説書に“当時の「キネマ旬報」紹介号に「フランケンシュタイン対海底怪獣」、東宝ネガ出し用アルバムに「フランケンシュタイン対地底海獣」の誤表記、海外版別タイトルに「FRANKENSTEIN VS THE GIANT FISH」というものがあるのは面白い”という記載があるが、これはベネディクト・プロから“「キングコング対ゴジラ」にでてきたようなジャイアント・デビルフィッシュ(大ダコ)をだしてくれ!”というリクエストがなされたものがそのまま残ったものと推測する。(アメリカまたはイギリスでは、蛸を“悪魔の使い”としてデビルフィッシュと呼んでいる。)
また、無茶なリクエストを要求したにも関わらず、ベネディクト・プロが大ダコの登場シーンを使用しなかった理由は、「キングコング対ゴジラ」のような本物の蛸との合成を期待していたが実際には操演用モデルの大ダコで、その出来に満足しなかったという説がある。

ジャケットおよび解説書内には、著作権の関係からはっきりと写ったフランケンシュタインの写真は使用されていない。
東宝怪獣映画初の日米合作らしくニック・アダムスが出演しているが、ニック・アダムスは次作「怪獣大戦争」公開後の約2年2か月後、1968年2月7日に自殺を遂げて帰らぬ人となってしまった。
一時期、交通事故で亡くなったともいわれていたが「怪獣大戦争」国内盤DVDの土屋嘉男のコメンタリーでもはっきりと自殺だったと語られている。
人工着色のロビーカード、プロマイド風の素晴らしいジャケットワークは田宮教明氏。スピードポスターを流用した帯のデザインも秀逸。残念ながら全12集とも現在廃盤。

→「フランケンシュタイン対地底怪獣」ハイビジョン映像はこちら
フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラへ
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