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					1968年大映 山本薩夫監督作品 
	「牡丹燈籠」 
中川信夫監督「東海道四谷怪談」(1959年新東宝)と並ぶ日本怪談映画の傑作。 
 
出世や対面ばかり気にする武家社会に嫌気がさし、町人の子供たちに読み書きを教える萩原新三郎。 
武家の娘として生まれながら、理由あって遊女に身を落としたお露とその侍女お米に出会うが、二人はすでにこの世のものではなかった…。 
自らの境遇と重ね合わせた同情と哀れさから幽霊にとり憑かれたと知ってもなお、お露への想いに揺れる萩原新三郎。 
 
そして、新三郎の向かいの家に住む伴蔵(西村晃)とその妻おみね(小川真由美)。 
百両くれれば、幽霊除けの護符を剥がすと、幽霊相手に交渉をもちかける欲深い夫婦だ。 
欲をかき過ぎ、因果応報により地獄へ落ちるのはお約束…。 憎めない悪党だが、そのカタルシス度は高い。 
 
新三郎の家を覗き見し、幽霊を見てしまう伴蔵(西村晃)の狼狽ぶり。 
この世のものではない「その物」を見てしまった人間の驚きと、あわてふためくリアクションは、怪談映画の見所のひとつでもある。 
 
"幽霊だけにおアシがない"という落語オチの台詞も聞かれるが、明治時代の落語家、三遊亭圓朝(1839〜1900)の噺を原作とするだけに、破滅していく人間の業、欲深くて罪深い人間の恐ろしくも面白い脚本が見事。 
 
カラ〜ンコロ〜ンと駒下駄の音を響かせて夜な夜な新三郎の元へ訪れる、幽霊お露とその侍女お米。 
ワイヤーアクションバレバレだが、幽霊チックな動きも自然で、円山応挙の幽霊画のような怖さを感じる。 
(※三遊亭圓朝は幽霊画を集めていた事でも有名だが、幽霊画はかなり怖い…) 
 
実直な若者、萩原新三郎は大映スター、本郷功次郎。 
その新三郎に、はかなくも怖ろしい想いを寄せる幽霊お露に赤座美代子、その侍女お米に大塚道子。 
日に日に衰弱していく新三郎を死霊から守ろうとする易者白翁堂に名優、志村喬。 
 
ちなみに、「8時だョ!全員集合」(1969年10月〜)、「ドリフ大爆笑」(1977年2月〜)の幽霊コント。志村けんの幽霊メイクや喋り方は、本作が元ネタ(だろう…)。 
骸骨が現れるシーンなど、今となっては笑ってしまう部分もあるがそれもまた楽しい。 
 
ブルーレイディスク化されるかどうかわからない、こういう日本映画のお宝ハイビジョン放送は本当にありがたい限りだ。 
(2008/04/27) | 
			 
			
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															| ■おまけ | 
													 
													
															  
																			リアクション(ここにも…) | 
													 
													
															| →大魔神へ | 
													 
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							2008年4月8日(金) 日本映画専門チャンネル放送 
アスペクト2.35:1 シネスコ 90分 
 
1968年6月15日公開 大映作品 
 
監督: 山本薩夫 
製作: 永田雅一 
企画: 伊藤武郎/宮古とく子 
原作: 三遊亭圓朝 
脚本: 依田義賢 
撮影: 牧浦地志 
美術: 西岡善信 
編集: 菅沼完二 
音楽: 池野成 
 
出演: 本郷功次郎(萩原新三郎) 
    赤座美代子(お露) 
    小川真由美(おみね) 
    西村晃(伴蔵) 
    志村喬 白翁堂(易者)  
    大塚道子(お米) 
    宇田あつみ(菊) 
    佐々木孝丸 
    水原浩一 
    伊達三郎 | 
					 
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