第6回(2001.02.03更新)

チャンバラアクションの2大傑作!ここにあり!

■若山富三郎主演!人気劇画の映画化
シリーズ全六作品、ご存知「子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる」!

「子連れ狼」といえば、やはり若山富三郎の映画版(1973年からテレビ放送された萬屋錦之助版より映画版の方が先に大ヒットしていた)。

水鴎流斬馬刀(すいおうりゅうざんばとう)の使い手、拝一刀…。
公儀介錯人(こうぎかいしゃくにん…切腹を命じられた大名の首を切り落とす、幕府の命を受けた身分の高い剣の達人)の地位にありながら、柳生一門の罠にかかり、妻を一族を斬殺され職を追われる。柳生一門への復讐を誓い、残った一子、大五郎とともに刺客人(暗殺者)として生きる決意をし流浪の旅にでる。
そして、いつしか「子連れ狼」と呼ばれるようになっていった。

箱車(乳母車)に隠した槍、刀、盾、連発銃といった秘密兵器。さらには大五郎を使った心理戦をも武器とし、居並ぶ敵を斬りまくる!
決め台詞は「冥府魔道に生きる我らは常人にあらず…」。

「冥府魔道」(めいふまどう…)
天に冥府、地に魔道。地獄へ続く道は血と屍の魔道、ふまえし道が刺客道。

その拝一刀の殺陣が半端じゃない。
骨を切っても歯こぼれせず、馬上でも自由自在に操れる戦場刀胴太貫(どうたぬき)をふりかざし、頭まっぷたつ、首が転がり、手足が落ちる!斬られたすねから下だけが地面に残るという伝説のシーンも必見!
血しぶきがまいあがり、噴水状態…、血の海と化した修羅場にスクッと立ち尽くす若山御大がとにかくカッコよく、外国では「サムライスプラッタ−」とも呼ばれ人気が高い。

 
カルト的人気を誇る理由は、実はこのキワモノ的な部分であったりもするわけだが、若山御大の重厚な演技と見応えある殺陣が、映画に風格を与えている。

刺客の仕事五百両なり…。
請け負った刺客の仕事と、拝父子の命を狙って突然姿を現わす裏柳生との戦いがバランスよく配され、いじらしくあどけない大五郎(富川晶宏)と、壮絶な殺陣を対比させたメリハリの効いた三隅研次監督の演出が素晴らしい。

若山富三郎「子連れ狼」シリーズ 詳細はこちら→

時代劇ヒーロー見参!! ENTER THE WARRIORS
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●刀で人を斬る時のズバッ!ビシュッ!という効果音は、黒澤明監督作品「用心棒」(1961年)(→詳細はこちら)で初めて使用された。今では当たり前の効果音だが、あの「七人の侍」(→詳細はこちら)(1954年)でもこの効果音は使われていなかった(東宝国内盤LDに収録の音声は、1991年11月2日のリバイバル公開時にリニューアルされた効果音入りバージョン)。そしてTV時代劇シリーズで初めて使用されたのは「三匹の侍」(1962年)である。

●勝プロダクションは若山富三郎の実弟、勝新太郎の映画製作会社。
1971年〜1972年頃、勝新太郎は「新座頭市 破れ!唐人剣」(1971年)でジミ−・ウォングと共演し(→詳細はこちら)、橋本力を「ドラゴン怒りの鉄拳」(1972年)(→詳細はこちら)のラスボス鈴木役として出演させるなど、香港映画界との交流を広めていた。
面白い映画作りに関しては、天性のヒラメキを見せる勝新だけに、活気溢れる香港アクション映画・剣劇映画の要素を日本チャンバラ映画に見事に取り入れていた。
実際「子連れ狼」にて若山富三郎が、宙返りして刀を投げたり構えたりする派手なアクションは、そのせいでもある。また残酷描写や、仕込みの箱車として乳母車に隠した秘密兵器を使うといったアイデアはマカロニ・ウエスタン(1964年〜)からの影響であるともいわれている。
さらに1970年代、コミック誌の劇画ブームを受けて「男一匹ガキ大将」(71年)、「御用牙」(1972年)、「唖侍鬼一法眼」(テレビ時代劇1973年〜)まで実写化している。

●「子連れ狼」や「座頭市」は、海外でも人気が高く次々とソフト化されている。また、ルトガ−・ハウア−主演の「ブラインド・フュ−リ−」(1988年)は「座頭市/血煙り街道」(1967年)のリメイク。
香港では、人気の高い座頭市のキャラクターをそのまま片腕の剣士として引用したジミ−・ウォング(王羽)主演「獨臂刀」シリーズ(→詳細はこちら)が製作されている(ジミー・ウォング本人は座頭市の引用を否定している)。
そして、この片腕の剣士が座頭市にそのまま登場したのが「新座頭市 破れ!唐人剣」。香港では「獨臂刀大戦盲侠」ZATOICHI AND THE ONE-ARMED SWORDSMANとして(→詳細はこちら)「ドラゴン危機一発」と同年1971年に公開され、ヒットを遂げている。
その他、香港・台湾には勝新太郎ソックリショーも出没。(→詳細はこちら)

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  ■座頭市(映画シリーズ全26作/テレビシリーズ全100作)
勝新太郎の神技のような居合斬りが見られる日本時代劇屈指の名作シリーズ最終作。
 
●座頭市(1989年版)
国内盤LD
1989年10月25日
パイオニアLDC<SF047-1654>
CLV版 チャプター無し
■本編/116分 ビスタサイズ
■音声/日本語モノラル音声

※予告編等未収録、解説書未封入
 
 
●座頭市(1989年版)
2004年リマスター版
国内盤DVD(2枚組)
2004年9月10日 JVD<JVDD-1164>
初回限定スリーブ仕様
映像特典・インタビューに関する用語解説シート封入
<本編ディスク>
■本編/116分24秒 ビスタスクイーズ
■音声/日本語リニアPCM モノラル
■字幕/英語
※チャプターメニュー

<特典ディスク>
■メイキング・オブ・座頭市 (54分14秒)
「ドキュメント座頭市 勝新太郎を斬る」スタンダードサイズ版
製作・監督・脚本・主演の勝新太郎。「座頭市」撮影の4ヵ月を追ったドキュメンタリー。役者バカ一代、勝新太郎の人となりがよくわかる非常に面白いメイキングだ。

■長沼六男氏(撮影監督)インタビュー

「たそがれ清兵衛」にて日本アカデミー賞・最優秀撮影賞受賞。現代日本映画を代表するキャメラマン。2004年6月収録
■眞田正典氏(勝プロ常務取締役)インタビュー
「子連れ狼」の特典映像インタビューにも登場する「冥府魔道」「地獄へ行くぞ!大五郎」製作のプロデューサー眞田正典氏インタビュー。2004年6月収録

■予告編.1(劇場予告) ビスタノンスクイーズ収録
■予告編.2(特報) ビスタスクイーズ収録
本編未使用シーン満載の予告編2種収録。
 
 
 
●座頭市(1989年版) 2004年リマスター
国内再発盤DVD(2枚組)
2014年 JVD<JVDD-1164>
2014年再発版。映像、音声、特典とも上記初盤と同内容だが、ジャケットデザインが微妙に変わっている。また、封入解説書もリニューアルされている(ディスクレーベル面のデザインは同じ)。
 


勝新太郎は、従来の常識を破るトリッキーで軽快な殺陣を見せるが、当初は「軽すぎる殺陣」ともいわれていた。しかし、この軽快で素早い、目にもとまらぬ早技と殺陣の合間に見せるユーモラスな仕草こそ、勝新「座頭市」の魅力。守りの剣から攻撃の剣までそのシーンごとによって使い分ける殺陣が、人間の心理まで表現していて奥深い。
「この、ど○○○めっ!」とタンカをきるちんぴらヤクザ!そして一瞬の閃光、つば鳴りと共に、「あれっ?」とばかりにまわりをキョロキョロ…。はらりっと脱げていく着物…。「おまえはすでに死んでいる」状態を思わせる座頭市お約束の居合斬りの名シーン。この着物斬りの他、ろうそく切り、鼻そぎ、ちょんまげ切りなどバリエーションは多い。

若山富三郎版「子連れ狼」と同じく名匠三隅研次監督による記念すべき第1作「座頭市物語」(62年)は別格としても、勝新が監督・製作・脚本・主演の四役を担当した1989年2月4日公開「座頭市」が傑作!
過去のシリーズの魅力的なエッセンスをすべてこの作品に凝縮した感のある、シリーズ最新作であるとともに最終作。真剣使用による忌わしい死傷事故があり、暗い話題ばかりが先行してしまったが映画としてはエンターテイメントに溢れた勝新の天才・異才ぶりがうかがえる内容であった。

映画は脚本とキャスティングがすべてといわれているが、この映画はキャスティングが絶妙。まず特筆すべきは、勝新の息子、奥村雄大(鴈龍太郎)。悪役やらせたら天下逸品の役者になるんじゃないかと思わせる異様な存在感。
死んだ目をした、こずるいやくざの親分(赤兵衛)内田祐也、狂ったわがまま役人(八州取締役)陣内孝則など悪党どもの存在感も見事。
何を考えているのかわからない飄々とした凄腕の浪人、緒方拳。さらには、三木のり平、片岡鶴太郎、ジョ−山中など個性派俳優のツボを得たキャスティングがうますぎる。

首が切れ、腕が飛び、鼻がそがれ、血しぶきが舞い上がる迫力ある殺陣と、短いながらも印象的なエピソードを次から次へと重ねていく展開は、クライマックスの赤兵衛の宿場での戦いまで決して飽きる事はない。
赤ん坊をポ〜ンと放り投げてから、一瞬の居合い斬りの後、また赤ちゃんを抱きかかえるといった旧作の名シーンもふんだんに取り入れ、座頭市の集大成版ともいえる内容となった。

新シリーズとして続編を、という話もあったが過去のシリーズで考えられるネタはすべて出尽くした感があること、勝新の麻薬不法所どの発覚などでお流れとなってしまった…。

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